<カバレージ>ズンドコ商店那珂湊CS 決勝ユッキーさんVSオレギさん
デュエル・マスターズとひたちなか海浜鉄道が奇跡とも言えるコラボレーションを実現し、全国からデュエマファンが押し寄せる大盛況となった「熱血デュエマ列車」。
そんなデュエマ列車も停車する那珂湊駅から徒歩2分の距離にあるのが「百華蔵」である。
約60年前の石蔵から再生され、地域コミュニティを創る場として提供されている文字通りの「蔵」。
「約60年」。確かに時代を感じさせるが、今年で日本は終戦69周年になったわけだから、戦後の建物である。それなら意外と新しいような…。そういった「古さ」と「新しさ」を併せ持った場所と、TCGという新しいゲームの中では比較的歴史あるといえる「デュエル・マスターズ」は奇妙に嵌まっているように思われる。
そう。満員のデュエマ列車の音が届くこの静かな百華蔵で、デュエマファンの中でも強者たちが集うもう一つのイベント、「DMズンドコ那珂湊CS2014秋in百華蔵」は開催された。
正直に言って不安は大きかった。駅から近いとはいえ、そのひたちなか海浜鉄道はローカル鉄道である。茨城県外の、いや県内のプレイヤーも含め、ほとんどのプレイヤーにとって、会場となる百華蔵へのまさに「道のり」は遠く、険しい。そして本日10月5日、多くのデュエマプレイヤーは全国大会に向け地区予選の権利を取ろうとデュエマ甲子園店舗予選を渡り歩いている。かてて加えての台風18号の接近である。デュエマのイベントを開催するには最悪の状況…。実際に参加者は定員を大きく下回った。これで成功といえるCSになるのだろうか…。
しかし、その不安はいつの間にか消えていく。
各地から強豪が集まった。予選から多くのドラマが生まれるのを見た。外の出店で焼きそばや唐揚げを食べ一息つく参加者は笑顔だった。
このCSは成功と言えるものになる。そして「次」はもっと良くなるだろう――。
ヘッドジャッジの脳内がトリップしている隙に大会は進行する。
そして今、予選4回戦が終わり、遂に決勝ラウンドも準決勝までが終了した。
激戦を勝ち進み、その勢力を増した二つの台風が今、百華蔵のズンドコ那珂湊CS決勝卓でぶつかりあう。
決勝戦 ユッキーさん vs. オレギさん
Bブロックを8位で通過し、決勝ラウンドでは五色キューブと異なる二つのグレンモルト系デッキを制して勝ち上がったユッキーさん。ベスト16にグレンモルト44枚という決勝ラウンド最大勢力となったグレンモルト系のデッキの中でも、前環境の覇者と言える《神聖麒 シューゲイザー》《神聖斬 アシッド》の2体の強力なオラクリオンにより圧倒的な盤面の形成を可能とするタイプである。さらに最近は採用率が減少傾向であった《ウソと盗みのエンターテイナー》もしっかり2枚搭載し、予選では現環境の新星ドミティウスを封殺し勝利している。
一方で同じくBブロックを5位で通過したオレギさん。こちらも二人のグレンモルト使いを退け、準決勝では対ランデス刃鬼にそのデッキの真価を発揮した。デッキは白青の《超閃機 ジャバジャック》と《サイレンス トパーズ》という2種類の強力な種族進化クリーチャーを搭載し、バニラ要素も加わったハイブリッドデッキだ。《瞬封の使徒サグラダ・ファミリア》《剛厳の使徒シュライバー》そして《サイレンス トパーズ》という呪文対策カード群が、予選を含む参加者中では最も多かったキューブ・ビッグマナ系を沈黙させてきた。
二人のデッキを検討してみると、間に合いさえすれば盤面の切り返しならお手の物のグレンモルトとシューゲイザーに対して、得意の呪文封じが効果的でない白青は厳しそうに思える。実際にオレギさんは「シューゲイザーは苦手」と語っている。だがデッキのエース《超閃機 ジャバジャック》から繰り出される展開力とタッチで投入されている秘密兵器《威牙忍ヤミカゼ・ドラグーン》の刃の毒にデッキ相性を簡単に覆すだけの力が秘められていることは、これまでのマッチアップを見れば一目瞭然である。そして実はこの二人は既に予選ラウンドで対戦しており、その時はユッキーさんの事故の隙を突くかたちでオレギさんが勝利をおさめているのだ。
そして今、一度決着がついた二人に決勝という舞台で再戦の機会が訪れた。
遂にドラゴンの封印が解かれるのか、はたまた闇からの刺客がそれを阻むのか。
DMズンドコ那珂湊CS、最後の一本勝負が始まった――。
先攻はオレギさん。早々と軽量の進化元である《アクア・ティーチャー》を戦場へと送り出す。
対するユッキーさんに1マナの選択肢は当然無いため、このマッチアップでは不要となる《未知なる弾丸 リュウセイ》をマナチャージして終了する。
オレギさんは戦場に《希望の親衛隊ラプソディ》を追加し1枚ドロー。
後攻とはいえ相手のアタッカーはまだ1体のみ、ここで順調にマナ加速をして迎え撃つ体制を整えたいユッキーさんだが…。
なんと、ここでもマナチャージのみでターンを終了せざるをえない。予選の悪夢がよみがえる。
オレギさんはこれ幸いと《剛厳の使徒シュライバー》を追加してそのままターンを返す。
殴らなくていいの?とばかりにエンド宣言を確認するユッキーさんだが、先攻の利を維持できたオレギさんにとって嫌なのはシールド枚数よりもSトリガーとSバックである。
痛恨の出遅れから呪文によるブーストまでもを封じられ、何ができるというだろう。初めての緑マナ《ピクシー・ライフ》をチャージしたものの、ユッキーさんにそこから唱えるカードは無い。
そして勝負は一気に動き出す。ティーチャーをエースクリーチャー《超閃機 ジャバジャック》へと進化させるとそのままシールドへと向かわせ、シュライバーと共に3枚の盾を破壊する。
トリガーに期待したいユッキーさん。しかし3枚ものシールドを手札に加えてもトリガー宣言は無く、弱々しく「はい」と呟くことしかできない。
ブーストできていれば…、せめて先攻なら…。そう思ったかどうかはわからないが、戦場に溢れかえるクリーチャーたちを恨めしそうに眺め、初動となってしまった《解体人形ジェニー》を召喚。手札はジャバジャックによって十分に整えられていたが、せめてもの抵抗として擬似的なスピードアタッカーを生み出す《ダイヤモンド・ソード》を墓地へ送る。
そして、オレギさんの第5ターン。手札へもたらされていた2枚目の《ダイヤモンド・ソード》が、幾度と無く振るわれた自慢の大剣を抜かせることなく相手を斬り捨てたのだった。
優勝 オレギさん
おめでとう!
※優勝のオレギさんへのインタビューを公開しました。(こちら)